熊本「田の原温泉・大朗館」編

創業100余年。映画「男はつらいよ」のロケ地にもなった熊本 阿蘇南小国にある老舗旅館に泊まってきました。

秘湯レポーター「星野七星」

熊本県にある黒川温泉の西側に、田の原(たのはる)温泉があります。田の原川沿いに旅館があり、周囲は田園風景が広がっていて、とっても静かな場所です。 そんな田の原温泉にある旅館『大朗館』に行ってきました。 近くの駅から無料バスで40分、高速道路からは60分かかる所にあるので、都会の喧騒から離れてのんびりとした雰囲気です。 大朗館さんの入り口を見た時に目に入ってきたのは、顔ハメパネルです。田の原温泉は『男はつらいよ』の21作目『寅次郎わが道をゆく』のロケ地にもなっているんです。このパネルに顔を入れるだけで、寅さんになれちゃうんです。

武田鉄矢さん演じる留吉と出会ったのが、まさにこの田の原温泉です。映画のポスター風の看板もあり、館内には撮影の時の写真も飾ってありました。

寅さん、今日はお世話になります。

大朗館さんは創業100年を超える老舗旅館です。客室はすべて和室で、とても落ち着きます。浴衣と足袋がお部屋に備品についています。まずはビシッと浴衣に着替えて、さっそく温泉へ向かいます。

温泉は貸切って入浴できます。滞在中は何度でも無料で貸切でき、ゆっくりと入れます。客室11室に対して8つの温泉があるので、ずっと待たされるという事が少なくて済みます。お風呂の入り口に札があって、「空室」をひっくり返して「入浴中」にして入ります。 一番人気のお風呂は「滝風呂」と言い、その名の通り滝を見ながら入れる露天風呂です。広さも10人は楽々入れそうなくらいの大きさで、開放感抜群です。とっても大きいので、泳げちゃいそうなくらいです。お風呂に入りながら聞く滝の音はなんとも贅沢な心地です。

 

その他にも桧風呂や庄屋さんで使われていた桶を使った桶風呂、五右衛門風呂のような釜風呂まであり、いろんなお風呂を楽しめます。もちろん源泉かけ流しの100%天然温泉です。温泉独り占めだってできるんです。とっても贅沢で、むしろ「独占しちゃっていいんでしょうか」って思っちゃいます。

大朗館さんには色んな種類のシャンプーやリンスが選べる「シャンプーバー」というのがあります。女性用には洗顔やメイク落としも選べます。10種類ほどあるので、どれにしようか迷っちゃいます。備え付けの1種類だけじゃなく選べるのは嬉しいサービスです。

お食事は熊本名物が並びます。馬刺しや肥後牛など、どれをとってもおいしい。

旅館の食事ってなんでこんなおいしいんだろう。お水が良いからなのか、素材がいいからなのか、それとも板前さんの腕なのだろうか。季節によってもメニューは変わるだろうから、毎回来るたびに変化がある。一期一会、きっとそういう良さがあるんだと思います。

田の原温泉は蛍が有名です。夏の夜にホタルが飛び交う様は幻想的で、都会では体験できない光景です。ホタルはきれいな水を好むので、やはりこの辺りの水は清らかなのです。

腹ごなしに入った温泉も気持ちよく、ずーっと入っていられそう。蛍かきれいな水が好きだけど、私は温泉を好むみたいです。ほんのりとする温泉の匂いに吸い寄せられ、「こっちの温泉は美肌だぞ」と言われると入ってみたり、「こっちの温泉には肩こりに効くぞ」と言われれば浸かりにいく。うん、やっぱり温泉版ホタルなのかも。

田の原温泉の歴史は長く、開湯は鎌倉時代にまで遡ります。いい国作ろうのあの時代です。川底から湧き出しているのが発見されたのが始まりなんだと言われています。

温泉地からは縄文時代の遺跡も発見されているようで、時代は違えど人々に愛されてきた温泉です。江戸時代には湯治場として利用され、熊本藩士が効能を評価した文が残っているんだとか。 部屋から窓を開けてみると田の原川のせせらきが聞こえてくる。これ以上ない極上のヒーリング音楽のようで、思わず聞き入ってしまいます。

昔の人たちも、こうやって川の流れを聞きながら過ごしていたのでしょうか。 自然のオーケストラと大げさなものではないのですが、熊本が聞かせてくれるコーラスを聞きながら、夜風を浴びて地元のお酒をぐいっと飲みます。

くーっ、染みわたる。

翌朝、温泉と静かな環境もあって爆睡したものの、目覚めはよくてシャキッと起きられました。 大朗館さんで過ごした時間が楽しくて、起きてしまったら楽しい時間が終わってしまう気がしてもうちょっとゴロゴロする。

でもさすがにずっとってわけにはいかないので、起き上げって伸びをする。温泉の影響なのか、体か軽くてよく動くような感じがする。

朝になるという事はチェックアウトが近いという意味でもあります。別れの寂しさにも似ていて、慌ただしく支度をしつつ、名残惜しさを感じていました。

チェックアウトを済ませ、旅館を出発しました。後ろを振り返ると、入り口にある寅さんのパネルが見送りしてくれているようでした。

「お嬢さん、また来るんだよ」
寅さんにそう言われたような気がしました。

また違う季節に来よう……次はいつしようかな。

■田ノ原温泉「大朗館」
住所: 熊本県阿蘇郡南小国町大字満願寺7130
TEL: 0967-44-0908
アクセス:公共交通:JR阿蘇駅から九州産交バス杖立温泉行きで60分、ゆうステーションでぐるっとバス右回りに乗り換え30分、バス停:田の原下車
車:大分道日田ICから国道212号・442号、県道40号経由50km
立ち寄り湯営業時間 : 11:00~15:00、18:30~21:00
料金:  【家族風呂】 60分 1,000円~ 風呂:  家族風呂×6 (内湯×4、露天×2)
泉質:アルカリ性単純温泉、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉
効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復、冷え性、打ち身、慢性消化器病、高血圧、慢性湿疹、腰痛、婦人病など
公式HP http://www.tairoukan.com/onsen.htm

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