湯西川温泉 公衆浴場 薬師の湯 体験レポート
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす・・・
これは世に知られた平家物語の冒頭部分。
栄華の限りを尽くした平家一族は壇ノ浦の海戦で源氏の軍に敗れ、ちりぢりに背走した。
ここ、栃木県の栗山村にはこの湯西川の他、川俣や奥鬼怒などにも落人伝説が残っている。
特にこの湯西川では端午の節句は一日遅れて祝う、鯉のぼりは上げない、鶏は飼わないといった風習が今も継承されている。
鶏はときの声をあげるからという理由は判るんですが、何故に端午の節句に関して二つも謂われがあるのかと思えば、落人たちは初め、霊峰鶏頂山(川治温泉の東)に逃れて暮らしていたものの、男児が生まれて喜びのあまり鯉のぼりを上げたところを源氏に発見され、命からがら湯西川まで落ち延びたことによるという。
湯西川温泉街の中心を抜け、茅葺き屋根の平家集落がよく見える大きな橋のたもとのY字路の手前、土産物屋柏屋の隣の道を入り金井旅館の前を抜けると、細い道の先は太鼓橋状にカーブした小さな橋に続いている。
この小さな橋のたもとに、くたびれかけた木造の湯小屋が建ってます。
これが「薬師の湯」です。
入り口の引き戸を開けると、右手に脱衣所、左手に浴室。
中は、こんな感じ
どちらも完全男女共用で、女性には入りにくい。
しかし誰もいない。
ひなちゃんは混浴には慣れてるのか、ささっと着替えて湯船に入る。
ちなみに石をそのままくりぬいたような雰囲気のある浴槽で、パイプから熱湯がそそがれている。
源泉の隣のパイプは冷水で、こちらは出口の処に三ヶ所ほど穴を開けた桶をくくりつけてお手製のじょうろのようになっている。
お湯は無色透明で柔らかいゆで卵の臭い。細かい湯の花が表面に浮いている。
温度は熱めだが、かなり加水もされているので入れないほどではない。
湯上がり、ゆるいアーチを描く橋を渡って、橋の上から緑の川面を見下ろした。
とても綺麗な景色だけど、先ほどの公衆浴場をはじめ、川沿いにはあちこちの旅館の露天風呂もあって目のやりどころに困ってしまう。
橋を渡り終えると三軒ほどの昔懐かしい茅葺き屋根の建物が並んでいる。
一番手前は湯元内湯の清水屋旅館と看板が下がっていた。まさに昔の旅籠そのものだ。
その隣は会津屋という豆腐屋。食事もできる。
川岸の茅葺き屋根の家の前を歩いていたら、どこからか子供の頃に嗅いだようなシャボンの匂いが漂ってきて、何だか泣きたくなってしまった。
湯西川温泉共同浴場「薬師の湯」
お風呂:内湯(混1)
バスタオル巻き:NG
脱衣所も浴室も共通で隠すところも何も無いし、お湯は無色透明の上に、窓が開いていれば橋の上からも丸見え・・・外来客がどんどん入って来る(現に今回も少年サッカーチームの監督・コーチとかが入って大騒ぎ…(;´Д`)
これほど女性にとって難易度の高い混浴風呂もない。裏技のようなものは何もない。着脱しやすい衣類で行き、連れ合いにでもガードしてもらうしかないかも。
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