その温泉の名は地図には記されていなかった。
昔2度ほど来た事があるのだが、どうにも行き先が不安である。
途中、クアハウスの駐車場の管理人に道を聞いたほど、判りにくい所に
この秘湯は位置する。
別府から明礬温泉に向かって車を走らせ、大アーチ橋をくぐると、
200mほどで左に入る道がある。右手が明礬薬師寺への入口なのだが、
そのまま山への舗装道を上がっていく。
しばらくすると砂利道になり、その後、急に視界が開け、
左に別府市街を見下ろす場所に出る。
そこに2叉路があり、まっすぐと左に分かれているが、ここはまっすぐ進む。
しばらく行くと道は悪路になり、大きな窪みもある。
Y氏のボルボでは、車高が低いためか、頭を打つほどの
ひどいゆれである。この道だと、4駆か小さな軽自動車しか
通れないのではないだろうか。
なんとか無理して進むと、やがて行き止まりとなる。
そこには車が5~6台駐められるスペースがあり、ここが終点。
大きな石碑の横の車止めを超え、小川の淵を歩いて登っていく。
途中、川の中を歩くような場所もあるが、そのまま進むと、
10分ほどで見晴らしの良い所に出る。そこから左手の方にあるのが
鍋山の湯(黒湯)である。
ここには、100mほどの距離をおいて黒湯と泥湯があり、まずは黒湯に入る。
もちろん脱衣所などはないので、その辺りの岩の上に脱いだ服を置いて湯に浸かる。
湯船は2つあり上の方は熱め、下の方はぬるめ。灰色というよりは、
ほとんど黒に近い湯で、他では見たことのない色だ。
その後に泥湯の方に入りに行く。
いちいち着替えるのも面倒なので、みな着替えだけ持って
スッポンポンのまま入りにいく。
誰も見ていない大自然の秘湯ならではの技である。
ここの泥湯は4箇所より出ているようだ。
浴槽の下より熱い湯?泥?が湧き出ているようなので
急にお尻や足の間から熱湯が噴出す。
皆、熱い熱いといって、お湯の中をうろうろしているのが滑稽である。
また底の泥をすくって顔や腕に塗ると、酸性が強いのか、
乾いた後は肌がすべすべしてくる。
美肌成分が強いのか、女の子も顔や腕に泥パックしだした。
そして何と言っても素晴らしいのが、ここからの眺望である。
周りはすべて山、そして遥か下には別府湾の海が見える。
温泉のすぐ上では、地獄のように噴気が「シュー!」と音をたてて噴き出しており、
まさに最高のロケーションである。
行くのがちょっと大変だが、秘湯マニアなら是非おさえておきたい一湯だろう。
ここで1時間あまり天然の秘湯体験した後、車で姫路から来たO氏と、
飛行機で大分空港に着き、O氏の車に便乗してきた埼玉のS氏と合流し、
初日最大の目的地「別府保養ランド」を目指すのであった。
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